【意外と把握していない】退去費用とは?

意外と知らない退去費用 賃貸

いきなりですが、

皆さんは賃貸物件の退居時費用でぼったくられたという経験はありますでしょうか?

実は僕、昔に一度あります。
もちろん不動産で働いたこともなく、相場もわからない社会人1年目くらいのことでした。。

この記事では、不動産初心者でもナメられないための知識と冷静さを持っていただくための内容をお伝えします!

賃貸物件の退去について

退去費用についてお説明する前に!
簡単に退去について、流れを確認しておきましょう!
※細かい決まりごとは賃貸借契約書重要事項説明に記載があることが多いので、ご自身の退去の際は必ず見返してみてください。

退去前の流れ

退去前に必ずしなければいけないのが【退去予告】です。

当たり前のことなのですが、「いつ退去したいか」を事前に管理会社やオーナーに伝える必要があります。

ここで注意点が一点です!

退去予告(退去届等)はいつまでに提出する必要がありますか?

ほとんどの方は「1ヶ月前まで」と答えると思います。

悪くない回答ですが、正確には間違いです。
正しくは「契約書による」です。大抵は1ヶ月前までとなっているのですが、物件によっては2ヶ月前、3ヶ月前となっている場合があります。

退去費用にも関わってくるのですが、「2ヶ月前までに提出」と決まっている物件で、1ヶ月前に提出した場合でも、2ヶ月分の家賃が発生します。

必ずb契約書や重説を確認して把握しておきましょう!

退去立会い

退去予告、解約届などの連絡をした後、「退去日」が確定します。
そしてその退去日に行われるのが「退去立会い」です。

文字通り、管理会社やオーナー等の方と立会いを行い、「退去時点でのお部屋の状況を共有」します。

ここでのチェック項目は下記のようなものです。

  • 壁や床、天井などに汚れ・傷・穴・着色、ニオイなどがないか
  • 壊れている設備がないか(エアコンやストーブや照明など)
  • 残置物がないか
  • その他、入居者が原因で発生した損害等がないか

上記を入居者と一緒に現地で確認し、損害に関する入居者との事実確認、修繕費を含めた退去費用の確認、入居者負担による支払いの同意等が退去立会いの目的です。

退去後の流れ

退去立会いが終わった後、管理会社やオーナーは退居時の清算に向け、請求書を作成します。

期間は物件によって異なりますが、おおよそ2週間〜1ヶ月ほどで請求書が届き、退居時清算をする流れとなります。

本題!退去費用とは?

それでは、ここからが本題です!

「退去費用」といっても、実は結構幅広い定義の言葉です。
筆者的にはいくつかの種類にカテゴライズできるのではないかと思っているので、この先でまとめていきます!

退居時にかかる費用にはどんなものがある?

ここでは大きく5つのカテゴリに分けて退居時のお金をまとめます。
それぞれ特色が違うものですので、別々のものとして理解していただくのが良いかと思います。

固定費

1つ目は「固定費」です。
ただし、固定費といっても、すべての物件で共通する費用という意味合いではありません。

固定費=あらかじめ決まっている費用

と考えていただければと思います。
具体的には下記が挙げられます。

  • ハウスクリーニング料
  • エアコン清掃料
  • 鍵交換費用
    などの費用で、金額が事前に明記されているもの

この費用は契約前に、重要事項説明や契約書に記載されています。
必ず契約前に確認し、退去前にも再度確認しておきましょう!

変動費

2つ目は「変動費」です。
ざっくりいうと

変動費=お部屋の使い方によって変わる費用

トラブルの多いポイントです!
具体的には下記が挙げられます。

  • 室内清掃料(実費
  • 修繕費用(傷や汚れの補修など)
  • 償却(敷引きなど)
  • その他、原状回復費用
    などの費用で、金額が事前に明記されていないもの

こちらは、「退去立会い」時に確認した内容に基づいて費用が決定していきます。
特に修繕費用、原状回復費用というのは程度によって大きく費用が変動します。

例えば、子供が壁の落書きをしてしまった程度であれば、クロスの張替えだけで済むので数千円で済むかもですが、子供が壁におもちゃをぶつけて穴を開けてしまった場合は壁の補修で何万円もかかる可能性があります。

また、普通に住んでいてついてしまう傷や汚れを例にとっても、入居期間によって費用が変わることがあります。
仮に、
①6ヶ月しか住んでいない人

②8年住んでいた人
の部屋の汚れ具合が一緒だった場合、①の人の方が使い方が悪いと考えられるためです。

詳しくは後述しますが、「原状回復ガイドライン」というものも参考になりますのでチェックしておきましょう!

家賃等

退居時点で未払いになっている家賃等(管理費なども含む)がある場合はそちらも退居時費用と同等に請求されます。

滞納している場合はもちろんですが、前述したように「本来は2ヶ月前申告の退去予告を1ヶ月前に行った場合」などの2ヶ月目家賃なども含まれますのでご注意ください。

違約金等

違約金には、短期解約違約金・期間内解約違約金などのように

「○○違約金」といった名目の費用

を指します。
上記のほか、例えば下記のような費用があります。

  • 入居時にフリーレントがあり、早期退去に至った場合の違約金
  • 入居時にオーナー負担があり、早期退去に至った場合の違約金
  • 冬期間解約違約金

一般的なものから、一生出会わないかもしれないレアなものまで、様々な違約金があります。
ただ、「契約書や重説に記載がある」という点では共通しています。

繰り返しになりますが、契約書や重説は必ずチェックしましょう!

返還されるもの

ここまで、入居者のお財布から消えていくお金についてご説明しましたが、ご安心ください!
お財布に返ってくる金額ちゃんともあります!

返還されるもの=敷金(保証金)

一昔前までは「どーせ敷金なんて帰ってこないでしょ?」とお客様から言われ、「へへへ…」と乾いた笑いで誤魔化していた筆者も、最近では「結構返ってくるもんですよ!」と心からの笑顔で返答できるようになってきました。

「敷金=預け金」ですので、基本的には返還されます。

ただし、下記の場合は返金されないのでチェックです!

  • 敷金と同額以上の違約金が発生する場合
  • 家賃の滞納がある場合
  • 契約書等に「償却」と記載のある場合

違約金や滞納など入居者の契約違反によって発生した費用については、オーナーが敷金と相殺することを選ぶことができます。

また、馴染みのない人が多いのが「償却(しょうきゃく)」です。
償却とは、敷金や保証金が退去時に返還されないよーという意味です。
(例)「敷金2ヶ月、償却1ヶ月」→敷金を家賃2ヶ月分預けたうち、1ヶ月分は返還なし

敷金にはもう一つ大きな役割があります。
それは退居時費用に充当される点です。
つまり、退居時費用を差し引いて敷金を変換することができるということです。
例えば、敷金10万円を預かっていて、退居時費用が6万円だった場合、差額4万円が入居者へ変換されることになります。
退居時費用が15万円だった場合は、超過分の5万円が入居者へ追加で請求されることになります。

退去費用のまとめ

話が脱線してしまいましたが、退居時の費用の計算式はざっくりと下記になります。

(固定費+変動費+家賃等+違約金等)ー敷金

「退去費用が思ったよりも高くて・・・」という方の多くは「固定費」と「違約金」を把握していないケースです。
つまり、「実はぼったくり被害には遭っていない」ことがほとんどなのです。
2年も前の契約内容を細かく覚えている人が少ないのは当然ですし仕方がないと思います。
ですので、賃貸借契約書や重要事項説明書は必ず保管しましょう!

ぼったくりはある?

では、巷で借主を脅かしている「ぼったくり」は存在しないのでしょうか…?

結論、あります

本当に残念ながら、私個人は【ぼったくりはある】と思っています。

退去費用のところで説明した「変動費」は悪徳業者にとって、絶好のぼったくりチャンスなのです。
ただ、ぼったくる場合は訴訟を起こされるリスクがあるので、安易にはやらない印象があります。
「ちょっと高いかな…?」といったラインを攻めてきたり、無知な方を対象にやっているケースが見受けられます。

ぼったくりかな?と感じたら…

では、「あれ?ぼったくりかな?」と感じたら、どうすれば良いでしょうか?

前提として「喧嘩腰」「高圧的」「感情的」に言い返すのは絶対にNGです!
これは悪徳業者からすれば逆に扱いやすいからです。格闘技でも大ぶりで攻めている時ほどカウンターを合わせやすいものです。まずは冷静に状況を把握するところからです。

また、相手がちゃんとした業者の場合は、いきなり怒り出すのは結構失礼ですのでやめてあげてください笑

退去立会時にやっておきたいこと

ここは結構重要なポイントです。

【どこにどの程度の修繕が必要か】退去立会時にしっかりと確認して話し合いましょう。

「クロスの張替が必要」ではなく、「どの部分のクロスの張替で、これだけの量が必要」という具合です。
例えば、壁の一部分に大きな汚れがあったとします。
仮にこの部分が「50センチ×50センチ」だとしても、そこを含むクロスを変えるために一面すべて変えないといけない場合は一面分の張り替えが必要です。

クロス張替例

上記のケースでは「ぼったくりではない」ので確認は大切です!

“内訳”を確認しましょう

退去費用が高いなと感じたら、まずはその内訳を確認しましょう。
何にいくらかかっているのか」わかるはずです。
固定費や違約金が含まれている場合は「ぼったくりではない」可能性がありますね!

“単価”を確認しましょう

例えばクロスであれば「1平米あたり〇〇円」といった”単価”の記載があるはずです。
この金額が法外に高くなければ「ぼったくりではない」可能性が高そうです。

また、少し違う観点で、「部品交換or新品取替」なども判断材料となります。
その点もしっかりと確認しておきましょう!

まずはぼったくりでない可能性を考えてみましょう!

それでも高いなら…

大変長らくお待たせ致しました!

いよいよです…!ぼったくりを疑ってください!徹底的に!!

ここからは契約書と事実関係の間違い探しです。

  • まずは契約書を確認して、入居者に不利な項目がないかをチェック
  • そして管理会社やオーナーが脱線したことをしていないかチェック
  • さらに、単価などが高いものは相場をチェック

散々チェックして、客観的事実をまとめて交渉しましょう!

ナメられないことも大事

私は、退去前に必ず契約書や重説を読み返し、退去立会時は手に持って参加するようにしています。

理由としては、「契約内容を頭に入れてきている」「おかしいところがあれば突っ込んでくるかも」という牽制のためです。格闘技で言うなら「ジャブ」、相手との間合いを測って迂闊に入ればカウンターくらわせるぞと伝えているのです。

悪徳業者は、入居者が無知だと感じたら必ず付け込んできます。
最低限自分の契約内容を把握し、詳しい着眼点で質問ができるように準備しておきましょう!

原状回復ガイドラインというものもある

現状回復ガイドラインについて(国土交通省HP)

本気の人は全部読んでみてください(前173ページ笑)
こちらは原状回復のあり方についてまとめたものです。
例えば下記のようなことが書いてあります。

  • 借主負担と貸主負担、どちらと考えるべきか
  • 居住年数と借主の負担割合についての考え方
  • 借主の負担単位

実際に、契約書や重説に上記のようなガイドラインの抜粋が添付されているケースも多く、真っ当な不動産業者はこの基準に合わせて安全な不動産取引をしてくれようとしてくれています!

現状回復ガイドラインの注意点

上記のように強い味方となるガイドラインですが、大きな注意点があります。
ガイドラインは法律ではないということです。

これがどういうことかというと、契約書に書いていることと反する場合は契約書が優先するし、判断が微妙な場合に法廷で争う場合、判例が優先されることもあるということです!

簡単にいうと【現状回復ガイドラインはただの目安で”絶対”ではない!】ので、あくまで目安として使用しましょう!

まとめ

いかがでしたでしょうか?
一つの記事にするには非常にボリュームのある内容だったかと思います。

筆者からは一言残しておきます。

退去費用トラブルは非常に高度な戦い

牽制のジャブ、波のないメンタル、冷静な判断からのカウンターなど、ほぼ格闘技です。(たぶん)

冗談はさておき、しっかりと知識をつけて悪徳業者に引っかからないように準備しておきましょう!

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