マンション管理士・管理業務主任者の試験対策【第2回】です!
本日のテーマは【代理制度/時効】
所有権
所有権の性質
所有権
法令の制限内で自由にその所有物の使用、収益および処分をする権利。
物を全面的に、排他的に支配する権利であって、時効により消滅しない。
土地所有権は法令の制限内において、土地の上下に及ぶ。
(明確な決まりはないものの、上空は300m、地下は40mまでといわれています)
相隣関係
通行権
袋地
他の土地に囲まれて公道に通じない土地
囲繞地
袋地を囲んでいる土地
袋地の所有者には、公道に至るために囲繞地を通行する権利があり、これを通行権という。
・通行の場所や方法は通行権を有するもののために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少なくなるようにしなければならない。
・その通行する他の土地の損害に対して、償金を支払う必要がある。(物の撤去や、ぬかるみを埋めるなど)
・袋地が分割により生じた場合は、他の分割された土地だけを通行でき、これについて損害が発生しても償金を支払う必要はない。
隣地の使用
■土地の所有者は、必要な範囲内で隣地を使用できる
・境界またはその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去または修繕
・境界標の調査または境界に関する測量
・枝の切取り
※境界標のイメージ
■使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者・隣地使用者のために、最も損害が少ないものを選ばなければならない
■使用するものはあらかじめ「目的・日時・場所・場所」を隣地の所有者・隣地使用者に通知しなければならない。
あらかじめ通知することが困難な場合は、使用開始後遅滞なく通知する。
■隣地の所有者・隣地使用者が損害を受けた場合は償金の請求ができる
その他
■隣地から水が自然に流れてくるのを妨げてはいけない
(例)隣地の方が高地に位置しており、雨水が自然と流れてくる場合、その流れについては受任する必要があり、妨げてはいけない
■境界標と測量の費用負担
・境界標を設置は双方1/2ずつの負担で設置できる
・測量費用は面積に応じて分ける
■隣地境界線との距離や対策について
・建物は境界線から50㎝以上へだてて建てなければいけない
・境界線から1m未満に他人の宅地を見通すことのできる窓や縁側を設ける場合は目隠しをつける必要がある。(他の慣習があればそれでもOK)
■竹木の枝の切除および根の切取り
・隣地の竹木の枝が境界線を超える時は、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる
(その竹木が数人の共有に属するときは、各共有者がその枝を枝を切取ることが出来る)
【例外】
土地の所有者がその枝を切取ることが出来る場合
・竹木の所有者に枝の切除の催告をしているにもかかわらず、相当な期間対応されない場合
・竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない場合
・急迫の事情がある場合(緊急の危険等がある場合)
(例)台風で枝が折れ、落下した場合に建物に損害が発生しうる、など
・隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる
共有
共有
数人のものが共同して一つのものを所有すること
持分
持分
共有物に対する、各共有者の所有割合のこと。
当事者間で決めたり、法律の規定で決まることが一般的。
持分が不明の場合は、相等しいと推定される。(数量や程度に相違がないと考える)
共有物の使用
・各共有者は持分の割合に応じて、共有物「全部」の使用ができる
・共有物の使用をする場合、別段の定めがなければ、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う
・各共有者が自己の持分を処分することは自由
共有物の保存・管理・変更
種類 | 行為内容 | 行為の具体例 |
---|---|---|
保存行為 | 各共有者が単独でできる | 明渡し請求 |
管理行為 | 各共有者の持分の価格に従い、 その過半数で決する | 賃貸契約の締結や解除、取消 |
変更行為 (+重大変更) | 各共有者の全員の同意が必要 | 売買契約の締結や解除、取消 |
共有物に関する費用・債権
・共有物の変更、管理、保存に要した費用は、各共有者が持分に応じて負担
・共有者が、1年以内に負担義務を行わない場合、相当の償金を払ってその持分を取得できる
・他の共有者に対する債権を持つものは、共有持分の特定承継人(譲受人等)に対しても行使できる
持分の帰属
共有者の一人が、持分の放棄をした時や相続人がいない場合は、他の共有者に帰属する
共有物の分割請求
【原則】
各共有者はいつでも共有物の分割を請求できる
(協議が整わない場合は、裁判所へ分割の請求が可能)
■裁判所での分割等
・共有物の現物分割方法
・共有者に債務を負担させ、他の共有者の持分の全部 or 一部を取得させる方法
・分割ができないもしくは分割で価格減少が大きい場合は、競売を命ずることができる
・裁判所は当事者に、金銭支払い、引渡し、登記義務の履行その他給付を命ずることができる
■共有物の全部または一部が相続財産に属する場合
・共同相続人間で遺産分割をすべきときは裁判所による分割請求等はできない
・相続開始の時から10年を経過した場合は裁判所による分割請求等ができる
・遺産分割の請求があった場合や、分割に異議の申出であった場合は分割できない
(分割の異議の申出は裁判所による分割請求があった旨の通知を受けた日から2ヶ月以内)
【例外】
共有者は全員で、5年以内の期間を定めて分割しない旨の特約ができる
更新する場合も5年以内の期間となる
所在等不明共有者の持分の取得・譲渡
・不動産が数人の共有に属する場合、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、所在等不明共有者の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。
請求をした共有者が二人以上の場合、請求をした各共有者に、所在等不明共有者の持分を、請求をした各共有者の持分の割合で按分してそれぞれ取得させる
・裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、所在等不明共有者以外の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる
・所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)、相続開始の時から10年を経過していないときは、上記の裁判はできない
所有者不明土地・建物管理制度 と 管理不全土地・建物管理制度
制度 | 概要 | 管理命令 | 管理人の権限 | 管理人の義務 | 管理人の解任・辞任 |
---|---|---|---|---|---|
所有者不明土地・建物管理制度 | 所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない土地・建物 | 裁判所は、利害関係者の請求により所有者不明土地・建物管理人による管理を命ずる処分が可能 | ・保存行為 ・性質を変えない範囲の利用や改良行為 ★その範囲を超える行為は裁判所の許可が必要 ※善意の第三者には対抗できない | 善管注意義務 | ・裁判所は利害関係者の請求により解任できる ・正当な事由がある場合は、裁判所の許可を得て、辞任できる |
管理不全土地・建物管理制度 | 所有者による管理が不適当であることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、または侵害されるおそれがある土地・建物 | 裁判所は、利害関係者の請求により管理不全土地・建物管理人による管理を命ずる処分が可能 | ・保存行為 ・性質を変えない範囲の利用や改良行為 ★その範囲を超える行為は裁判所の許可が必要 ※善意・無過失の第三者には対抗できない | 善管注意義務 | ・裁判所は利害関係者の請求により解任できる ・正当な事由がある場合は、裁判所の許可を得て、辞任できる |
占有権
占有権の性質
占有権
「自分のために、ものを持っている」という状態を保護する権利のこと。
自分で占有するほか、代理人によっても取得できる。
即時取得
即時取得
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
【難しいので整理】
■要件
・動産を
・取引により
・無権利者・無権限者から
・平穏・公然・善意・無過失で
・当該動産の占有を取得したら
所有権・質権を取得する(無権利者からの譲受人を保護するため)
民法193条と194条について
第193条
【盗品又は遺失物の回復】 前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
【解釈】
即時取得された目的物が盗品・遺失物の場合、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失のときから2年間無償で、その物の占有者に、物の返還を請求できる(所有権に基づく返還請求権は2年間に制限される)
第194条
占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。
【解釈】
盗品・遺失物を、競売もしくは商人から善意で買い受けた者に対し回復請求するには、代価の弁償が必要である。(一定の場合には、代価の弁償が必要となる)
占有訴権
占有訴権
占有を妨害されたり、そのおそれがあったりする場合に、妨害者に妨害の排除を請求できる権利のこと。
占有訴権の種類と内容
占有訴権の種類 | 内容 | 請求 | 行使期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
占有保全の訴え | 占有を他人に妨害されるおそれのある場合 | ・妨害の予防 ・損害賠償の担保の請求 | ・妨害の危険が生じている間 | 工事による妨害は ・工事着手後1年以内 ・工事終了まで |
占有保持の訴え | 占有を他人が妨害する場合 | ・妨害の停止 ・損害賠償の請求 | ・妨害されている間 ・妨害の消滅後1年以内 | 上記同様 |
占有回収の訴え | 占有を他人に奪われた場合 | ・返還請求 ・損害賠償の請求 | ・占有を奪われた日から1年以内 | 善意の特定承継人に対しては訴えの提起不可 |
本件の訴えとの関係
占有権に基づくの訴えと所有権に基づく訴えは同時に提起することも別々に提起することもできる。
この記事について
TAC出版 マンション管理士・管理業務主任者 総合テキストに基づいて自己の解釈で作成しております。
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