【第2回】民法2 代理制度/時効[マン管・管業]

【第2回】民法2 代理制度/時効 マンション管理士

マンション管理士・管理業務主任者の試験対策【第2回】です!

本日のテーマは【代理制度/時効】

代理制度

代理の仕組み

代理権

・本人から代理人に与えられる
・口頭でもOK
・代理権付与後でも、本人が自ら行為OK

代理行為

顕名を行なって本人の代わりに契約などを行うことを「代理行為」という。

顕名(ケンメイ)・・・本人のために代わりに行うことを示すこと。

効果の帰属

代理人が行った契約は全てAが行ったものとみなされる

代理行為の種類

法定代理

法律上代理権が与えられる場合の代理。
制限行為能力者のようなケース(第1回参照)

任意代理

本人の意思に基づいて代理権が与えられる場合の代理。
自由に選出できる。

法定代理と任意代理の違い

代理代理権の範囲代理人の資格代理人の消滅(本人)代理人の消滅(代理人)
法定代理法律の規定による民法の欠格要因に該当するもの
代理人である制限行為能力者が行った行為は取消しできる
・死亡・死亡
・破産手続き開始の決定
・後見開始の審判
任意代理代理権授与時に定められた範囲

(定められていない場合)
保存行為
利用行為
改良行為
※処分行為ができない
本人から代理権を与える意思表示を受けたもの

代理人である制限行為能力者が行った行為は取消しできない
(選任することは自由で、自己責任だから)
・死亡
・破産手続き開始の決定
・死亡
・破産手続き開始の決定
・後見開始の審判

※行為能力者だった代理人が後見開始や破産者となった場合は代理権消滅

自己契約・双方代理の禁止

自己契約
代理人が取引の相手方となって、依頼者との契約をすること。
自分の都合の良い条件等で契約できてしまうから原則禁止されている。

双方代理
取引の双方の代理人となること。
依頼者の利益に反する行為ができてしまう可能性が高いため原則禁止されている。

原則

自己契約・双方代理・代理人と本人の利益が相反する行為は禁止されている。
これに反して行われた行為は無権代理行為とされる。

例外

本人があらかじめ許諾している行為(または事後追認した行為)
・本人に不利益を生じさせるおそれのない単なる債務の履行
→例)司法書士が売買契約後に、売主・買主の双方から所有権移転の登記申請の代理を受ける場合

代理行為

代理行為の意思表示の瑕疵かし

意思表示影響を受ける要因事実の有無の判断基準
代理人→相手方への意思表示意思の不存在・錯誤・詐欺・脅迫
悪意、善意・有過失
代理人
相手方→代理人への意思表示(意思表示を受けたものが)
悪意、善意・有過失
代理人

委任された法律行為を代理人がした場合、
本人が悪意(知っている)場合や過失(注意すれば気づくことができたのに怠った)の場合は、代理人の善意や無過失を主張することができない。

復代理

復代理
代理人が専任する本人の代理人のこと。

復代理人の性質
①「代理人の代理」ではなく「本人の代理人」という立場
②代理人の代理権の範囲を超えるものではない
③代理人の代理権の消滅=復代理人の代理権も消滅
④復代理人を選任しても、代理人の代理は失われない

復代理人の専任と責任

代理復代理人の専任代理人の責任
法定代理いつでも自由にできる・全責任を負う
・やむを得ない場合は、本人に対して専任と監督についての責任を負えば良い
任意代理原則として選任できない

【例外】
本人の許諾があった場合
やむを得ない事由がある場合
代理権授与契約の債務不履行として、債務不履行の一般原則により責任を負う

無権代理

無権代理とは

無権代理
代理権がないのに行われた行為のこと。

代理権がないにも関わらず、誰かの代理人として代理行為を行なっているため、原則本人に帰属しない

本人の追認権

無権代理人の行なった行為に対して、本人は追認することができる

追認することで、無権代理行為の時にさかのぼって確定的に有効となる。

【追認の相手】(本人→相手方・無権代理人)
・相手方でも無権代理人でもOK
・無権代理人に追認した場合は、相手方が知るまでは追認の効果を主張できない
善意の相手方が取消権を行使した場合は、その後の追認は不可

相手方の保護規定

相手方にも権利がある

【催告権】(相手方→本人)
・本人に対して、相当期間を定めて催告ができる(追認するかどうか)
・本人から確答がない場合は追認拒絶とみなす
相手方が悪意でも行使できる(無権代理と知っていてもOK、本人が拒絶できるから)

【取消権】(相手方→本人)
相手方が善意であれば、契約の取消OK(無権代理と知らなければ取消しができる)
本人の追認した場合は、その後の取消しは不可

【責任追及権】(相手方→無権代理人)
・無権代理人は相手方に履行または損害賠償責任を負う

例外(無権代理人が責任を負わない場合)
自己の代理権を証明したとき
本人の追認を得たとき
・無権代理人ということを相手方が知っていたとき(相手方の悪意
・無権代理人ということを相手方の過失で知らなかったとき。
ただし、無権代理人が自己に代理権がないことを知っていたときは責任を負う
相手方の有過失+無権代理人の善意
無権代理人が制限行為能力者であったとき

表見代理とは

表見代理
無権代理行為だったとしても、相手方の保護のため本人に効果が帰属すること

表見代理の成立条件

前提として相手方が善意・無過失であること

該当条件詳細
代理権授与の表示本人が相手方に対し、他人に代理権を与えたかのような表示をしたが、実際には与えていない場合

(例)
本人が「この物件はAさんに任せてる」と言っていたので、相手方はAさんを代理人と思いAさんとの間で契約したが、実際にはAさんには代理権がなかった場合
権限外の行為代理人が与えられた代理権の範囲を超えて代理行為をした場合

(例)
土地の賃貸に関する代理権を与えられていた代理人が、相手方と土地売却の契約を行なった場合
代理権消滅後代理権がなくなったにも関わらず、代理人がだった者代理行為を行った場合

(例)
先月で代理の委任契約が終了となった代理人が、今も代理権があるかのように振る舞って相手方との契約をした場合

表見代理の効果

相手方は、表見代理の成立を主張して、本人に履行を求めることができる。

その他

無権代理と表見代理の関係

表見代理が成立する場合、同時に無権代理でもある

そのため、表見代理が成立していても、相手方は取消権や無権代理人への責任追及権を選択することができる。

相続についての判例

【無権代理人が本人の立場を単独相続】
契約の効力を否定できない
無権代理人として行った効果が、(本人として)自分に返ってきただけだから保護されない

【本人が無権代理人の立場を単独相続】
追認を拒絶することができるが、無権代理人の責任を負うことがある
無権代理人の行為については本人として追認拒絶することができるのが当然で、相続によっては変わらない。
ただ、相続によって、無権代理人の責任も相続することがある点に注意。
(例)
契約は追認拒絶して、無権代理人としての損害賠償には対応する。など。

時効

取得時効

取得時効
今まで持っていなかった権利を持つこと
時効を迎えて権利を取得する

時効期間

占有開始時点で
善意・無過失 10年
悪意または善意・有過失 20年
※占有開始時点で「善意・無過失」であればその後に気付いても10年で時効所得

所有権の取得時効

所有の意思をもって、平穏かつ公然と他人の物を占有することが要件
※「平穏かつ公然」→暴力的に占有を奪ったりせず、かつ、隠匿したりしていないこと

借家人(賃貸で借りている人)は何年立っても時効取得はできない。
→所有の意思があるとは言えないから。

消滅時効

消滅時効
今まで持っていた権利や義務がなくなること
時効を迎えて権利がなくなったり、義務を免れる

消滅時効にかかる権利

所有権は消滅時効はかからない

時効期間

【債権】
・権利行使できることを知った日から5年(主観的起算点)
・権利行使できるときから10年(客観的起算点)
人の生命、身体の侵害による損害賠償請求権は20年

【債権または所有権以外の財産権】
権利行使できる時から20年

消滅時効の客観的起算点

消滅時効は権利行使できる時から10年(客観的起算点)
「権利行使できる時」っていつ…?

債権の分類消滅時効の起算点
確定期限あり
(到着が確実で時期が明確)
期限到達時
不確定期限あり
(到着が確実で時期が不明)
期限到達時
期限の定めなし債権の成立・発生時

確定債権の時効期間

確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする。

「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するもの」
裁判上の和解や調停等によって確定した権利については、短期の消滅時効を認める必要性が存しない。

時効の完成猶予と更新

時効の完成猶予

一定の完成猶予事由が生じた場合に、時効の完成が先延ばしにされる制度

時効の更新

一定の更新事由が生じた場合に、時効の進行がリセットされる制度

完成猶予や更新の事由について

事由完成猶予更新
請求等
裁判上の請求、支払督促、和解・民事調停、破産手続き参加

事由終了時まで
OR 確定せずに終了してから6ヶ月

確定判決・判決と同様の効力を有する権利の確定した場合
催告
催告時から6ヶ月
重複した催告に効力なし
×
強制執行等
事由終了時まで

事由終了時
仮差押え・仮処分
事由終了時から6ヶ月
×
協議を行う旨の合意
①合意から1年
②合意で定めた協議期間(1年未満)
③協議の続行拒絶通知から6ヶ月
×
未成年者等
(時効期間満了前6ヶ月以内に法定代理人がいない場合)
・行為能力者になった時から6ヶ月
・法定代理人が就職した時から6ヶ月
×
承認×
権利の承認時

時効完成の効力

時効の援用

援用
時効による利益を主張すること

時効の完成によって、権利の取得や義務の消滅などの利益を得るが、時効を援用しなければ、時効の完成の効力は生じない

援用の効果

時効を援用すると、その効果は起算日にさかのぼる
(そもそも権利があったり、義務がなかったことになる)

時効の利益の放棄

時効完成後時効利益の放棄ができる
・時効利益の放棄は、時効完成前にはできない
・時効の完成を知らずに債務を承認した場合、時効の援用ができない
(消滅時効を迎えた金銭債務を債権者に弁済した場合など)
・時効利益を放棄した場合、その時点から再び進行を開始する

この記事について

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