【第1回】民法① 契約/制限行為能力者[マン管・管業]

【第1回】民法① 契約/制限行為能力者 マンション管理士

マンション管理士・管理業務主任者の試験対策【第1回】です!

本日のテーマは【契約/制限行為能力者】

民法

宅建の勉強をした方なら懐かしいのではないでしょうか?
民法の一番最初の入り口です!

これは私の理解の仕方ですが、民法はベース的な法律、実務を行う人にとっては、
「あれ?なんかいつもの業務と違う気がする…?」なんてことも。

イメージとしてはこんな感じで捉えましょう!

民法とその他法律の関係

民法はあくまでベース!
そのため、他の法律(宅建業法など)と対象が被る場合は他の法律が優先される。
他の法律によって定めがなければ民法が適用される。

なので、全て実務と関連づけないで、「そういうもの」くらいで捉える方が良いかも!

契約

契約の原則

意思決定の合意で成立
「売ります」と「買います」、「貸します」と「借ります」などの合意で契約成立
民法上は契約書の作成や記入押印は契約成立条件ではない!

契約の種類

諾成契約(だくせいけいやく)
物の引渡しなどを要することなく、当事者の合意のみによって成立する契約
売買契約や賃貸借契約も諾成契約、つまり、引渡しまでしていなくても契約が成立している点に注意!

要物契約(ようぶつけいやく)
当事者が合意するだけでなく、目的物を実際に引き渡すことが契約成立の要件
質権設定契約のように、合意しただけではなく、実際に引き渡す必要のある契約。

不動産で例えるなら、債務者(お金を借りる側)の火災保険の保険金請求権に質権設定をする場合、
「質権設定しまーす!」と合意するだけではなく、「実際に火災保険の保険金請求権を担保として預けます」というところまでが必要ということ。
債権者(お金を貸す側)が債務の返済がない場合に、保険金の請求権を行使できる状態にないと意味がないので、要物契約となります。

契約の「無効」「取消し」の違い

無効
最初(契約締結時)からそもそも契約の効果はないよ。ということ。
例えば物事の判断が全くできない状態で契約しても、その契約には最初から効果がない場合など。

取消し
取消権を持った人のみができる行為。
取消すまでは有効な契約でも、取消した場合は、最初から無効だったことになる。(さかのぼって無効

未成年の子供が勝手に高額な契約をしちゃったとして、契約後に気づいた親が困るので契約の取消しをしたとします。そうした場合は、その契約は最初から契約は無効になりますよ〜というイメージ。

申込みと承諾の効力

承諾適格(しょうだくてきかく)
申込が到達すると、承諾によって契約を有効に成立させることのできる効力が生じる。その効果のことをいう。(申込みの承諾適確)
この承諾適格の効果がいつまで有効かというところが争点。

①申込みの拘束力について
■承諾期間アリ
 ・承諾期間中、申込みを撤回できない(ただし、撤回する権利を留保した場合は可能
 ・承諾期間内に承諾の通知がなければ、効力を失う

■承諾期間ナシ
 ▼相手方が遠隔地
  ・承認通知を受けるために通常必要な相当期間、申込みを撤回できない
  (ただし、撤回する権利を留保した場合は可能

 ▼相手方が対話者
  ・対話継続中はいつでも申込みの撤回が可能
  ・対話継続中に承諾の通知がなければ申込みの効力を失う
   (対話終了後も効力を失わない旨を表示した場合は、効力を失わない
→対話中に話がまとまらなくて、「いつまでに承諾するか決めてねー」といって対話を終えたら、対話終了後も申し込みは有効!ということになる。

承諾の効力等について
 ■承諾の効力
  ・「承諾」申込みに対応してなされる意思表示のこと
  ・申込みの承諾適格(承諾期間など)が有効な期間に行わなければいけない
  ・承諾が申込者に「到達」することで契約が成立
  ・「到達」よりも前に申込みの撤回があった場合、申込みの承諾適格が失われて、契約不成立

 ■遅延した承諾の効力
  ・原則、効力を生じない。
  ・申込者は、「遅延した承諾=新たな申込み」とみなすことができる
  ・「新たな申込み」に対して承諾をすることで契約成立

 ■承諾の通知がなくても契約が成立するケース
  ・申込者の意思表示、取引上の慣習によって、承諾の通知を必要としない場合
  ・意思表示と認めるべき事実があった場合

制限行為能力者

制限行為能力者とは

制限行為能力者(せいげんこういのうりょくしゃ)
法律行為を一人では十分にできない人のこと。
制限行為能力者の行った法律行為は取消しができる

人によって、法律行為をするための判断能力の度合いが違うため、本人の意思を尊重するために度合いによって段階的に分けた制度(成年後見制度)がある。

制限行為能力者には下記の種類がある。

  • 未成年者
  • 成年被後継人
  • 被保佐人
  • 被補助人

「未成年者」以外は判断能力の度合いは以下の順になります。

未成年者

■どんな人?
 満18歳未満
■保護者
 親権者、未成年後見人 (法定代理人)
■保護者の権限
 同意権、代理権、取消権、追認権
■法律行為の効果
 ・単に権利を得または義務を免れる行為 (損しない)
 ・法定代理人が処分を許した行為(お小遣い)
 ・許可された営業に関する行為 (宅建業の許可があれば、その業として行う契約など)
■取消しができる人
 本人、法定代理人、行為能力者になった本人

成年被後継人

■どんな人?
 精神上の障害によって事理を弁識する能力をかく常況にあるもので、後見開始の審判を受けたもの
 ※イメージ:重度の認知症で、いつも全く自己判断ができない、財産処分は全くできない状態
■保護者
 成年後見人 (法定代理人)
■保護者の権限
 代理権、取消権、追認権  ※同意権が無い(そもそも本人が判断して何かをできないため)
■法律行為の効果
 ・有効な法律行為をするには成年後見人が代理する必要がある
 ・成年後見人が居住の用に供する建物や敷地の処分をする場合は家庭裁判所の許可
 ・本人が単独で行った行為、後見人の同意を得て行った行為も取り消すことができる
 (日用品の購入は取消し不可)
■取消しができる人
 →本人、法定代理人、行為能力者になった本人

被保佐人

■どんな人?
 精神上の障害によって事理を弁識する能力が著しく不十分もので、補佐開始の審判を受けたもの
 ※イメージ:中程度の認知症で、自分で判断することは難しく、財産処分には援助が必要
■保護者
 補佐人
■保護者の権限
 (重要な財産上の行為について)取消権、追認権、同意権  特定の法律行為は代理権を付与できる
■法律行為の効果
 ・重要な財産上の行為は補佐人の同意が必要
 ・上記以外は単独で法律行為が可能
 ・同意が必要な行為を単独で行った場合は取消しができる
■取消しができる人
 本人、補佐人、行為能力者になった本人

被補助人

■どんな人?
 精神上の障害によって事理を弁識する能力が著しく不十分もので、補佐開始の審判を受けたもの
 ※イメージ:軽度の認知症で、自分で判断することもできるが不安も残る、財産処分には一部援助が必要
■保護者
 補助人
■保護者の権限
 下記いずれか
 ① 特定の法律行為の代理権(重要な法律上の行為から選択される)
 ② 特定の法律行為の同意権、取消権、追認権
 ③ ①と②の双方
■法律行為の効果
 ・特定の法律行為について、同意権や代理権などがある場合は補助人の同意や代理が必要
 (特に注意が必要だと判断し家庭裁判所の審判によって決まったことのみ同意や代理が必要)
 ・同意が必要な行為を単独で行った場合は取消しができる
■取消しができる人
 本人、補助人、行為能力者になった本人

制限行為能力者の取消しと効力

溯及効

遡及効(そきゅうこう)
さかのぼって果がぶということ。
取り消された意思表示・行為は、最初から無効だったということになります。

原状回復の義務

■原則
無効な行為に基づく給付を受けた人は、原状回復をする必要がある
 →代金なら全額、お酒を勝手に飲み干したとしたら、その価額を金銭として返還する必要がある。

■例外
①贈与などの無償行為に基づいて給付を受けた人は、それが無効であると知らなかった場合や取消原因があることを知らなかった場合には、現存利益を返還すれば良い
→自分の得た利益のみを返還すればいい

②意思能力がない者、未成年者・成年被後見人・被保佐人などの制限行為能力者は、現存利益を返還すれば良い

相手方の保護等

制限行為能力者の法律行為は取消権があるため、取引の相手方の立場は不安定になる。
そのため、相手方の保護・法律関係の安定化のための制度がある。

相手方の催告権

1ヶ月以上の期間を定めて催告ができる。

■催告をする相手
【未成年者・成年被後見人】
法定代理人or行為能力者となった本人

【被保佐人・被補助人】
補佐人・補助人or行為能力者となった本人 or 本人
■期間内に返事がない場合
本人の場合は取り消しとみなす
→判断能力がない可能性があるから

本人以外の場合は追認とみなす
→判断できる人に催告してるのに何も言わない方が悪い

詐術

詐術(さじゅつ)
嘘をつくこと。

詐術を使った場合は取り消すことができない。
例)未成年が親の同意をもらったとして、契約書の同意書に勝手にサインをした場合

黙秘していたことが他の言動と相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めた場合も詐術に当たる。
例)未成年が年齢を確認されずにお酒を飲んでいただけ(単なる黙秘)でなく、自分が成人を過ぎているような発言をしている場合(「自分が未成年の頃はさ〜」みたいな発言)

取消権の時効消滅

追認できる時から5年
行為から20年いずれか早い方が経過すると取消しできない

法定追認

追認の意思表示がなくても、追認することができる時以降に追認したと思わせるようなことをしたら法定追認

この記事について

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